江戸川乱歩 踊る一寸法師 あらすじ&感想(謎解き「踊る舞妓」を思い出しながら)

江戸川乱歩 踊る一寸法師 あらすじ 感想 明治村の謎解きアトラクション
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明治謎解きアトラクション「江戸川乱歩の不完全な事件帖~本格ミステリーの世界にようこそ~」にチャレンジしています。

せっかくなので謎解きのモチーフである『江戸川乱歩』の作品を読んでみよう!

ということで、
今回は『踊る一寸法師』を読みました。

謎解き『Scoop05 踊る舞妓』の原案にあたります。

『踊る一寸法師』を読んだ感想を謎解きの内容に絡めて書いています。

今まで謎解きモチーフ原作として読んできて、一番、びっくりする物語ではないかと思います。

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江戸川乱歩 踊る一寸法師 あらすじ

登場人物


この物語の主観である「私」
テントにいるから、同じ一座の人なのか…
ここにはいるけどいない語り部なのか……謎。

緑さん(ろくさん)
小人症…なのかな?
一寸法師、豆蔵、不具者など呼ばれ、いじめられている。
真っ赤な道化役の衣装を身に着けている。
いつも笑っている。下戸。

紫繻子の猿股をはいた男
緑さんに酒を勧める。

お花
美人玉乗り
緑さんが行う奇術の助手として木箱の中に入る。

八字髭の手品使いの男
さりげなく緑さんに酒を勧めるお花に違うことを促したり、
「鞠投げ」しようとする青年に「よせよ」と見かねて口を出す。

お囃子のおばさん
新米らしい

若い軽業師

玉乗り娘の二三

金棒の巧みな青年
「鞠投げやろう」と言い出した人

舞台背景

テントの中。
軽業師たちの一座がテントの中で興行後の打ち上げをしている。

サーカス一座が今日の公演終わった後に、
テントの中で打ち上げをして盛り上がっているところを
イメージしていただければよろしいかと思います。

あらすじ

軽業師たちの一座が、
今日の興行がよかったので祝いの宴を開いています。。
すでにみんな、酒に酔っている状態です。

緑さんは一座の仲間たちからいじめられていました。

宴席でも、
飲めない酒を勧められ、
緑さんを貶めるような内容の歌が歌われ、
酒樽の中に漬けられ、
倒れていればその上で踊り、
顔の上で馬乗りの真似をされ、
毬投げの毬にされ・・・
一座の人たちのおもちゃにされていました。

一座の人間は、それを見てゲラゲラ笑い、
緑さんはずっと微笑していました。

さすがに見かねた誰かが言いました。
「みんなで隠し芸をやろう」

意地の悪い誰かがそれに答えました。
「まずは緑さんからね」

倒れていた緑さんは、
やはり笑って、それを受けるのです。

お花が緑さんに提案します。
「八字髭さんの大魔術『美人獄門』をやりなさいよ。
私が箱の中へ入ってあげるわ」

緑さんは、お花の顔を見つめて笑います。

緑さんの目は、
無理やり飲まされた酒のせいで、妙にドロンとしていました。

一座のメンバーは大喜びです。
急いで大魔術の舞台道具を準備しました。

 

(続く!)

感想 ~謎解き「踊る舞妓」を思い出しながら~

『踊る一寸法師』と謎解き『踊る舞妓』と関連性のある言葉を拾ってみると、

  • 緑さん → 葵さん?
  • 軽業師 → 軽澤さん?
  • 猿股 → 猿渡さん&猪股さん?
  • 八字髭の手品師の男 → 髭八さん?
  • 酒に酔っている → 酒に酔っているかの如く錯乱
  • お囃子のおばさん → おはやし

こんな感じかな?
もっとあるのかもしれませんが、
とりあえず思い出せるのは上記の通りです。

 

『踊る一寸法師』を読んだ感想は、
酷いなぁ…
というのが正直なところです。

酷いという表現が合っているとも思わないのですが……

緑さんがやったことも残酷ですが、

一座のみんなが緑さんに対してやったことも、非道ですよね。

悪意なくやってたことなら、尚酷い。

 

『踊る一寸法師』が緑さんによる復讐の物語であれば、
謎解きは、軽澤さんによる復讐のおはなしでしたね。

謎解きの方は、原案である緑さんのような残忍な表現は出てきませんが、
人とは異なる容姿(葵さんはさらに耳が悪いのかな?)
ゆえにいじめられてきたこと
からの
国への復讐
という、軽澤さん……大きく出たね(^^;

テント内の酩酊ゆえのカオスな状態は、
催眠・錯乱・洗脳というシチュエーションになり、
私たちは明治村の中を狂ったように歩いたと……(笑)

全てを照らし出した月の光は、
謎解きでは燈台の光となり、
燈台の光を消すことで事件を阻止するわけですが、

友人
友人

燈台の光を消すなんて
すごいことしたよね

という謎解きクリア後の友人の言葉が思い出深いです。

きっとその日はほかの船舶の航行がなかったんだよ…
(そう信じようぜ)

『踊る一寸法師』の漫画はあるのか?

ありませんでした。

…まあ、酷い描写が多いのであえて絵にしない方がいいのかも(^^;

救いもない気がするし…

短編です。
私がkindleで読んだものだと、14ページの物語でした。
是非、原作(現代語訳になったやつで)そのままお楽しみいただければと思います。

さくっと読み終わるよ。

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踊る一寸法師のオチと感想

読み終わって思ったことは、
凄惨で、グロテスクな物語だなぁ。
最後のシーンが幻想的であればあるほど、怖いです。

以下、「踊る一寸法師」のオチです。
ネタバレになってしまうので、
オチを知りたくない場合はここをスルーしてください。




大魔術『美人獄門』とは、
箱の中に入った美女を、14本の刀で突き刺し、
その首を箱の横に設置したテーブルに晒す…
という奇術です。

もちろん仕掛けがあります。
床下に抜け道があり、
テーブルの下は客席から見えませんが、
抜け道を抜けてきた女性の胴体が隠れるようになっています。

お花は、箱の中へ入り、
緑さんはそれに蓋をして、大きな錠前をかけます。

そして日本刀を一本、一本、偽物でないことを証明し、
箱に開けられた穴へと一刀、一刀、突き通していきます。

箱の中からものすごい悲鳴が聞こえてきます。

いつも見物人を驚かせている悲鳴です。
一座の仲間たちは、
「本番とそっくりだ」と手をたたいて喜びます。

刀の数は、どんどん増えていきます。

「思い知ったか!
よくもよくも俺を馬鹿にしたな」

「助けて助けて助けて」

箱がガタガタと動きます。

一座の仲間たちは、この迫真の演技に夢中です。

14本目の刀が突き刺さると、
お花の悲鳴も消え、箱も動かなくなりました。

緑さんは、幅の広い刀を手にし、
きちんと切れ味があることを示したうえで、
箱の錠前を外し、ふたを開けます。

そして手にした幅広の刀を箱の中に入れ、
まるで人の首を切るように、ゴリゴリと音をさせました。

緑さんは、切り終わったように刀を手放し、
何かを隠すように隣のテーブルへと移動します。

そして、ドサッという音を立てて、
お花の青ざめた首をテーブルの上に置いたのです。

切り口からは赤い血潮が流れ出ています。

緑さんは、見物人の方を向いて、声なく笑っていました。

見物していた一座の者たちは、誰も動けません。

「オホホホ、やるわね豆ちゃん」

お花の首が、お花の声で、テーブルの上で笑いました。

緑さんはお花の首を袖で隠すと、舞台の裏へと消えていきました。

一座の者たちは、この見事な演技に息をのみ、
やがて拍手喝采します。

緑さんを胴上げするんだと、一座のみんなは舞台裏へと向かいますが、
そこに緑さんの姿はありません。

もちろんお花の姿もありません。

「どこに行ったんだ!?」

私は八人芸という技を思い出します。
口をつぐんだまま、腹中で発音して死物にものを言わせる業です。
その技を緑さんが習得していたのではないか…
先ほどのお花の声は、本物のお花の声だったのか…

ふと気づくと、テントの中に煙が充満していました。
テントの裾を、周りを火が取り巻いています。

私はやっとのことでテントの外、草原にでました。

月の光が煌々と降り注いでいました。

テントはすでに三分の一まで燃え上がっており、
中からは酔った軽業師たちの狂ったような笑い声が聞こえてきます。

テント近くの丘では、月の光を背に子どものような人影が踊っています。

スイカのような丸いものを、提灯のようにぶら下げて。

月の光がその姿を真っ黒に浮き上がらせていました。

丸いものから、踊る人物から、
黒い液体がボトリボトリと垂れている様さえ、
はっきりと見ることができるほどに…

(おしまい)





緑さんは、その描写から小人症なのかな?
昔は、みんなと違うということで、今よりも仕事に就くことも難しく、
自分自身を見世物にすることで緑さんは、生きてきたと推測されます。
緑さんがずっと笑っているのは、
そうするしかなかったからなのしれません。
軽業師の一座にいることが、生きるすべで、居場所だったのかな?

そんな一座でも、文面から察するに、日常的にいじめられて
おもちゃのように扱われいたと思われます。

でもここにしか居場所がないのであれば、
笑って過ごすしかなかったのかもしれません。

物語の舞台では、
お酒の力で、一座の人間はみんな酔っている状態です。

いつも以上に、緑さんへの扱いがひどいです。

緑さんも飲めないお酒を飲まされた状態でした。
いつもは心の奥底に秘めていたものが表に出てきてしまったのかもしれません。

報復する機会が、眼前におぜん立てされ、またそこにいるのはいつもとは違う状態の緑さんです。

いつもの笑顔で終わらせるのとは、違う展開になっちゃったわけですねぇ…。

しかもみんなも平時とは違う酔った状態なので、眼前で行われても気づかない。

怖…。

 

炎に巻かれるテント内も異常ですよね。

炎に巻かれているのに、みんな笑っているわけですよ。

緑さんを直接いじめた人たちも、
いじめを止めようとした人たちも、

もろとも炎に巻かれるわけですよ。

……どちらも同罪ってことですかね?

 

最後、月の光がうつしだす影のシーンは、
一見するとすごい幻想的で美しさを感じさせますが、

同時に、

踊る小さな人影は、緑さんで、

スイカような丸いものの影は、お花ちゃんの首で、

提灯のようにしているということは、髪の毛をつかんでぶら下げているのかな?

しずくのような影は、血のしずく……

なのではないかと、
読んでいる自分の脳内で情景が変換され、
とんでもなく凄惨な場面に変わるのです。

 

怖…ッ

まとめ

明治謎解きアトラクション「江戸川乱歩の不完全な事件帖」のモチーフとなっている江戸川乱歩の小説を読ました。
謎解きの思い出を交えた感想を書いています。

明治村の謎解きから江戸川乱歩の原作を読んでみた感想(まとめ)

よろしければご覧ください。

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この記事を書いた人
ねねここ

名古屋生まれ、名古屋在住。気がついたら年齢が40代になっていた名古屋っ子女子。愛すべき地元名古屋の新規店舗情報を発信しながら、日曜日に愛知県犬山市にある「博物館明治村」の謎解きに参加しております。明治村には10年くらい通っています。自分でもびっくり!名古屋も犬山も大好きだヽ(^。^)ノ

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