江戸川乱歩 一枚の切符 あらすじと感想(謎解き「未使用の切符」と比較)、オチまでの解説

江戸川乱歩 一枚の切符 感想 明治村の謎解きアトラクション
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明治謎解きアトラクション「江戸川乱歩の不完全な事件帖~本格ミステリーの世界にようこそ~」にチャレンジしています。

せっかくなので謎解きのモチーフである『江戸川乱歩』の作品を読んでみよう!

ということで、
今回は『一枚の切符』を読みました。

謎解き『Scoop01未使用の切符』の原作にあたります。

「まんがだったら読んでもいい」
と言っていた謎解き仲間の友人に本の内容を話すべく、読んだあらすじ&謎解きの内容に絡めた感想を書いています。

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江戸川乱歩 一枚の切符 あらすじ

登場人物

左右田五郎(そうだごろう)
身形は端正だが、髪の毛をモジャモジャと伸ばした男。
事件現場に居合わせた。
富田博士を尊敬している。

松村
青年紳士。聞き手。左右田のお友達。

「村松」また登場してる……と思ったら、
「松村」というのは、
江戸川乱歩のお友達「松村家武」さんの名前をお借りしているからだそうです。

↓事件関係者↓
富田博士
事件の嫌疑者とされている。
(犯人であるという確信はないが、罪を犯した疑いがある人)

黒田清太郎
刑事巡査。今回の事件を調査し、「犯人は富田博士だ」と断定。

富田博士の奥さん
事件の被害者とされているご婦人。
大正–年十月十日午前四時に列車により轢死。
懐中から発見された書置きから、自殺と思われた。
しかし検死の結果、轢死前に毒薬の服用が確認されたため他殺の疑いあり。

ジョン
富田家で飼われている犬。よく躾けられている。

舞台

松村が、お肉を食べている。
左右田が、ビールのお代わりをしている。
飲み屋か?
いや、レストランだ!

大正–年十月十日に起きた轢死事件。
現場に居合わせた左右田とその友人である松村が話している。

松村
「事件については多少は知っているけど、君ほど詳しくないから、教えてよ」

左右田
「オッケー、イイよ」

ということで、
大正–年十月十日午前四時に発生した轢死事件。
死亡:富田夫人
犯人:富田博士

と、みなされている事件について語る左右田。

しかし左右田は言う。

左右田
「僕の持っている証拠品から、博士の無罪を証明しよう」

松村
「何言ってるんだ、冗談だろう!?」

左右田
「詳しくは、また明日!」

 

翌日、松村が目にしたものとは……!?

というか、
証拠品は警察に提出しないと駄目だよ、左右田!!

 

詳しくは『一枚の切符』をお読みください(笑)

感想 ~謎解き「未使用の切符」を思い出しながら~

推理小説だ!
すごいしっかりしてるはなしだ!
ものすごい理屈立てて過程を説明してるのに、
最後の最後に
「でもわからないよ?」
とあいまいさを持ってくるのも、いい意味でひねくれていて、イイね!

そしてこのおはなしを原作とする謎解き『未使用の切符』を考えると、
『一枚の切符』は、『二銭銅貨』の時ほど謎解きに反映していないな~と思いました。

謎解き『未使用の切符』は、消えたカバンを追いかけていく話ですからね。
殺人事件ではない(^^;
失せもの探し事件でした。

エンディングシートに
『物語のきっかけやキーアイテムとして切符をモチーフにした』
とあったので、そこまで類似していないか。

個人的には、『一枚の切符』は、内容をメモしながら読んでいまして😅

❝富田家から線路へ続く一方通行の靴跡❞を
左右田が
「現場の見取り図を描いて見よう」
と言っていたから、
そのように書いてみて…

あ、謎解きの「現場検証シート」と似てる(笑)

などと、ひとりで喜んでました♪

一枚の切符⇒未使用の切符 勝手に比較(笑)
↓『一枚の切符』↓ ↓謎解き『未使用の切符』↓
列車による轢死事件 駅から始まる謎解き
富田家と線路の間にある足跡 駅から続く足跡
富田 富岡
黒田 黒島
前夜に雨が降っていた 雪が降っていた
左右田がシガレットケースからオックスフォードを取り出して、松村がマッチを擦ってやってた 富岡は……紙のたばこを咥え、金之助に「火気厳禁だから自重せよ」と言われてた
一枚の切符 未使用の切符
ジョン(犬) …(秘密)…居たね(笑)

『一枚の切符』の漫画はあるのか?

漫画はなかったです。

謎解き仲間の友人が

「漫画だったら読んでもイイんだけど…」

と言っていたので探してみたのですが、ありませんでした。

『一枚の切符』は、短編小説なのでページ数も少ないです。

現代文に直されているものであれば、
そんなに読みにくくはないので是非、読んでみてほしいです。

私はKindle(0円)で読みました。

他にも青空文庫になっているのでそちらでも読めます。

図書館で借りるのもあり。

名古屋市図書館は電子書籍サービスもやっているので、名古屋市にお住まいの方は活用してみてはいかがでしょうか?

一枚の切符 オチまでの解説

以下、本を読まない友人に語るべくまとめた『一枚の切符』の解説です。
オチまで語るつもりなので、
ネタバレが気になる場合は、そっと通り過ぎてください。

レストランにて
事件の詳細を教えてほしいという松村に、
事件現場に居合わせた左右田が以下のように説明します。

事件概要

事件発生時刻
大正–年十月十日午前四時

事件発生場所
–町の町外れ
富田博士のおうちの裏にある鉄道線路

事件内容
上り〇号列車により一人の婦人が轢殺。
死んだご婦人は、富田博士の奥さま。

遺留品
一通の書置き
「肺の病気で辛い。周囲の人に迷惑をかけるのも辛い。故に死にます」
的な意味合いの内容だった。

事件結論(当初)
よくある病を苦にした厭世自殺…

 

になるはずでしたが、
黒田清太郎(刑事巡査)の調査により事件は急展開!

検死の結果、
富田婦人の死因は、
轢死ではなく、毒薬を服用したことによる毒殺と判明。

何者かに毒殺されたのち、
死骸を鉄道線路に運ばれ、自殺と見せかけたのではないか?

つまり、他殺。

黒田刑事の調査の結果

現れた3つの証拠品

1.一足の短靴
2.石膏で取った足跡の型
3.数枚のしわになった反故紙

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黒田刑事の証拠品から犯人断定までの道のり

事件前夜まで雨が降っていたので、事件現場に足跡がくっきりと残っていた。

足跡の中から、誰のものだかわからない靴跡がひとつだけあった。(証拠品2)

その靴跡は、富田博士の家から出発していた。
(博士宅から線路へ向かっての片道分だけで、戻りの足跡は無し)

富田博士の家の奥座敷の縁の下から、靴跡に合致する短靴(証拠品1)を発見。

その短靴を常用していたのは、富田博士

富田家の家庭の事情
富田博士は入り婿。
富田夫人は家付きわがまま娘で病気持ち。
さらに見た目も美人っていうわけでもなく、ヒステリー持ち。
夫婦仲は微妙。
富田博士は妾宅を構えて、愛人を溺愛している。

富田博士が夫人殺意を抱く理由あり

数枚のしわになった反故紙(証拠品3)
富田博士が夫人の筆跡を練習したもの。
博士の書斎の屑籠から発見。

富田博士は夫人の筆跡で文字が書ける。

黒田刑事の結論

富田博士にとって夫人は、邪魔な存在。
亡き者にしたいが、自分の名誉は傷つけたくない。

富田博士「薬だよ」
と言って、夫人に毒薬を飲ませる。

夫人を肩に担いで、短靴を履いて、裏口から出て、鉄道線路へ運ぶ。

夫人の懐中へもっともらしく書いた書置きを忍ばせる。

すなわち犯人は富田博士

 

すごいぞ、黒田刑事!

 

松村
「黒田刑事すごいね」

左右田
「まあ、一種の小説家だね」

そう言って左右田が懐から出したのは、

一枚の切符。
(PL商会の受取切符)

左右田が、事件現場で偶然拾った切符です。

左右田
「僕はこれによって博士の無罪を主張するのだ」

松村
「へ…?」

左右田
「でも確証が足りないから、この後、博士の留守宅へ行ってくるよ!
詳しいことはまた明日!」

そう言って、立ち上がった左右田。
果たして翌日、どうなっているのか!?

というか、
証拠品は警察に提出しないと駄目だよ、左右田!!

 

翌日。

新聞(夕刊)に
『富田博士の無罪を証明す』という寄書が掲載される。
署名は、左右田五郎となっていた。

左右田による富田博士の無罪証明

二つの証拠品

証拠品1:一枚の切符
現場で拾ったPL商会の受取切符
(三頭急行列車備付けの枕の代金の受取)
日付は十月九日(事件の前日)

ちなみに左右田は、
拾った切符を検証に来ていた警官の一人に渡そうとした。

しかしその警官は、

「邪魔だからどけ」

といって、左右田を顧みなかった。

「そいつの顔は、今でも忘れない…」by.左右田

証拠品2:短靴のひも

黒田刑事の3つの見落とし

1.一枚の切符を見落とした。
線路近くの石塊の下にあった。
本来であれば、博士宅の裏にある下水の溝の側にあるべき石塊だが、切符が挟まっていたそれだけが線路側にあった。
本来あるべき場所ではなく、一つだけ線路側にあるという状況に注意深く気づけば、切符にだって気づけたはず。

2.犯人の足跡
富田宅裏口から出て線路まできているが、そのあとに富田宅までもどっていない点。

3.犬の足跡
犯人の足跡に並行して犬の足跡がある。
そして犬の足跡は、犯人の足跡と異なり、線路から富田宅裏口まで再び戻っている。
この犬は轢死した富田夫人の犬ではないか?

真犯人は…

轢死した富田夫人である。

真犯人の目的

書置きの通り「ひどい肺病を憂いて」の厭世自殺であり、その死をもって愛人を囲っている夫の浮気に対する復讐も果たす。一つの死に二つの目的。

夫人
「夫の名誉なんて、地に落ちろーー!!」

左右田の結論

切符からわかること
切符は、事件前日(前夜深夜)に急行列車の窓から偶然落ちたもの。
九日深夜にはこの石塊は線路近くにはなく、
事件発生した十日四時までの間に誰か(犯人)によってここに置かれた、ということがわかる。

犯人が使ったトリック
「人間を抱いて歩いた足跡」と「石を抱いて歩いた足跡」は、熟練の探偵の眼をくらますほど似通っている。

富田博士に殺人の嫌疑をかけるため、
博士の靴を履いて、
夫人の体の代わりに石塊を抱いて、
線路までの足跡をつけた。

犯人の失敗
博士に嫌疑をかけるには、線路から富田宅まで戻る足跡も必要。
どうして戻りの足跡がないのか?

富田宅と線路を往復している犬の足跡に原因あり

事件当日の富田夫人の行動
富田夫人は、富田博士の短靴を履いて、裏口から出た。

博士宅裏にある下水溝の近くにある石塊を持って線路まで歩く。

ジョン(犬)が富田夫人に気づいた。
富田夫人について歩き、わんわんと吠えた。

ジョン(犬)が吠えることで、家人や近隣の犬が集まってきたら大変だ。

富田夫人はとっさに考えた。
ジョンは、
ちょっとした荷物を咥えて、家に持ち帰るように訓練をしてある犬である。
持ち帰った荷物は、必ず奥座敷へと置くように習慣化されている。

夫人
「ジョン、これを家へ届けて」

富田夫人は、履いていた富田博士の短靴を靴ひもでひとつにまとめてジョンに咥えさせた。

ジョン(犬)は靴を咥えて富田宅へと戻っていく。

当初の予定では、
石塊を線路わきに置き、
富田博士の短靴を履いたまま富田宅へ戻って靴を家に戻し、
改めて足跡を付けないルートで線路へ戻る、はずであった。

夫人
「まあ、いいや」
と、用意しておいた毒薬を飲み、
懐中には自分で書いた書置きを入れ、
線路に横たわる。

夫である富田博士の名誉が地に落ち、
夫が社会的に排斥され、
殺人犯として逮捕される姿を想像し、
壮絶な笑みを浮かべながら、
急行列車の轍にかかるのを待つ

 

以上、新聞に掲載されていた左右田の証明。

 

というわけで、
場面は前日と同じレストラン。
再び語り合う左右田と松村。

松村
「すっかり人気者だね!
君がこれほど優れた探偵であろうとは思わなかったよ」

左右田
「空想家と訂正してくれ」

左右田は言います。

富田博士が、自分の尊敬する大学者でなかったら。
富田博士が犯人である、ということを想像し、
左右田自身が拾った証拠さえも全て否定していたかもしれない。

なぜなら、
左右田が証明につかった証拠というものは、よく考えると他の場合も想像できるようなあいまいなものばかりだ。

唯一確実性を持っている「一枚の切符」だって、
石塊の下から拾ったのではなく、
その石のそばから拾ったとしたらどうだ?

 

やめて、そんな不穏なことを言うのは😅

まとめ

明治謎解きアトラクション「江戸川乱歩の不完全な事件帖」のモチーフとなっている江戸川乱歩の小説を読ました。
謎解きの思い出を交えた感想を書いています。

明治村の謎解きから江戸川乱歩の原作を読んでみた感想(まとめ)

よろしければご覧ください。

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この記事を書いた人
ねねここ

名古屋生まれ、名古屋在住。気がついたら年齢が40代になっていた名古屋っ子女子。愛すべき地元名古屋の新規店舗情報を発信しながら、日曜日に愛知県犬山市にある「博物館明治村」の謎解きに参加しております。明治村には10年くらい通っています。自分でもびっくり!名古屋も犬山も大好きだヽ(^。^)ノ

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