明治謎解きアトラクション「江戸川乱歩の不完全な事件帖~本格ミステリーの世界にようこそ~」にチャレンジしています。
せっかくなので謎解きのモチーフである『江戸川乱歩』の作品を読んでみよう!
ということで、
今回は『吸血鬼』を読みました。
謎解き……ではなく、
謎解きとコラボしている明治村グルメ『ジァール』のモチーフになっている作品になります。
『吸血鬼』を読んだ感想を書いています。
江戸川乱歩 吸血鬼 あらすじ
登場人物
三谷房夫
25歳。美青年。職は未定。親の仕送りで暮らしている。
意中の女性(倭文子)をめぐり、岡田と劇薬決闘をする。
岡田道彦
36歳。青白い顔。面長。痩せ形で背の高い中年紳士。画家。
倭文子をめぐり、三谷と劇薬決闘をする。
柳(畑柳)倭文子(しずこ)
25歳。三谷と岡田が思いを寄せる美人。実は未亡人。
畑柳茂
6歳。倭文子の息子。
シグマ
茂の愛犬。
蛭田嶺蔵
60歳以上のお爺さん。眼鏡にマスクの「唇のない男」
三谷たちが泊まっている旅館に来た客。
倭文子が泊まっていることを旅館の女中に確認する。
明智小五郎
有名な探偵さん。もじゃもじゃ頭。「ワハハハ」
恒川警部
名探偵と言われる警察(捜査課)の人。
斎藤老人
畑柳の執事的な人
小川正一
畑柳家に現れた奇妙なお客さん。死亡。
お菊
畑柳家の小間使い。シグマ(犬)を気にかけ、生きたガイコツのような人物を見かけ、気絶。
お波
茂の乳母。
小林少年
明智小五郎の助手。このエピソードで少年探偵団の小林少年が明智作品に初登場。
文代さん
明智小五郎の美人探偵助手で恋人。
園田黒虹
探偵小説家。
畑柳庄蔵
倭文子の夫。年齢は40代くらい。悪い人で逮捕され、獄中で病死。
舞台
・塩原温泉、塩の湯A旅館
・東京
あらすじ
塩原温泉、塩の湯A旅館にて三谷と岡田の決闘が行われていた。
温泉で出会った美女・倭文子を巡っての決闘である。
勝者は三谷。
岡田は失踪し、後に水死体として発見される。
東京に戻った後も、三谷と倭文子は逢瀬を重ねる。
倭文子は未亡人で6歳の息子がいること、
元々の恋人を捨て、金を持っていた畑柳と結婚したことを三谷に告白する。
倭文子の言葉に対し三谷は、
何を聞いても倭文子への気持ちは変わらないと言う。
しかしその直後から事件は起こり始める。
倭文子の息子・茂の誘拐。
倭文子本人も連れ去られる。
畑柳家で密室殺人事件が起こり、
客として来ていた小川正一が死亡するが、遺体は消えてしまう。
恒川警部が犯人と思われる「唇のない男」を追跡するも、いずれも途中で消えてしまう。
助け出され家に戻った倭文子と茂だが、
倭文子は家の中で「唇のない男」に覗かれていて、次第に憔悴していく。
三谷は、探偵・明智小五郎に助けを求める。
同時に明智には犯人からの脅迫状が届く。
明智と三谷、恒川警部は事件を調査していくが、
調査を進めていくと、
死んだ岡田のアトリエから3体の女性遺体が発見され、
明智の助手・文代が拐われ、
文代を拐った犯人が海上爆発、
畑柳家執事の斎藤老人が殺害、
その犯人は倭文子だ、
シグマ(犬)も殺害、
倭文子と茂が行方不明、
事件はどんどんと混迷を極めていくのであった。
果たして明智は、恒川警部は、犯人を捕まえることができるのか!?
(続く)
感想(原作と明治村謎解きコラボグルメ「ジァール」)
最初のシーンが「ジァール」の出番でしたね。
明治村で飲める「ジァール」はアセロラとザクロのジュースなのですが、
この場合は、どっちが毒になるのでしょう(笑)
ジァールが出てくるのは序盤だけなので、是非この部分だけでも読んで、
「嗚呼、これがあのドリンクのネタなんだなぁ〜」
と、思いを馳せてみるのも面白いと思います(笑)
本当に序盤だけだから♪
『吸血鬼』はデジタル書籍で読んでいたので、
決闘シーンが終わり、東京へ戻ったあたりで私は気付きます。
「これって長編?」
長編小説でしたね。
(思わずページ数を確認してしまった(笑))
タイトルが『吸血鬼』なので、
ついつい伝奇小説的な展開を想像している自分がいました😅
「あれ?なんか普通に展開してく……」
これ、探偵小説!
という脳内軌道修正を数回行っていた序盤(笑)
序盤だけ、ね。
最初の決闘で、三谷が毒を選んでいたらどうなっていたのでしょう?
必ず岡田が毒を引く(または三谷が毒を選ばない)ように実は何か細工してあったとか?
そもそもどちらのグラスのも毒が入っていなかったとか?
……謎だわ😅
しかし乱歩さん、
いろいろ詰め込みましたよね!
地下室、密室、石膏、消失、人形、飛んで逃げる、爆発、井戸の中、氷結、etc…
アクションもしっかりあったね!
面白かった!
グイグイ惹き込んでくれるわ(笑)
「唇のない男」は、
蛭田冷蔵(誰なの?)
または
倭文子の最初の恋人(貧乏)
かな?
と、予想しながら読んでおりました。
でも蛭田冷蔵の場合だと、ど直球すぎるので、ちょっと無いかな?
「あなたは実は誰ですの?」
と思いつつ読んでいましたけれども……
倭文子が「体臭を知っている」的なことを言っていたので、
・最初の恋人(貧乏)
・畑柳庄蔵(亡夫)
・三谷房夫(彼氏)
この辺りに絞られるかな〜と
岡田説については、「?」としており、
作中であれだけ「岡田が…岡田が…」と言われていたので、
岡田はきっと序盤で本当に死んでるんだろうな、と推測。
後半の「実はその時ね…」的な一方その頃のくだりに入ってからは、
「だよね〜。君、怪しかったもんね〜」
とワクワクドキドキしながら
「で、君は誰なんだい?」
楽しく読んでおりました♪
あとはそうですね。
文代さん凄いですね!カッコイイ✨
『魔術師』を読んでいないので、
文代さんに関する詳細は知らないのですが、
お嬢ちゃん、カッコ良かったゼ!
でも文代さんが電子記号使うシーンを読んで
「これ謎解きになったら嫌だな〜」
と、モールス信号系の謎が苦手な私は思いました😅
衝撃的なオチというか、
まさかと思うけどそう来るのかな〜と思ったのが、
『椅子になった男』
(著者:園田黒虹)
(笑)
まさかの『椅子人間』来たよ!
乱歩さん、面白い(笑)
これを新聞で連載してたのか〜
凄いわぁ
*参考:江戸川乱歩 人間椅子 あらすじと感想(謎解き「人面椅子」を思い出しながら)、漫画もあったよ。
『吸血鬼』の漫画はあるのか?
タイトル | 江戸川乱歩異人館 8〜9巻 |
作者 | 漫画:山口 譲司 |
価格 | 8巻:587円(税込)/9巻:587円(税込) |
出版社 | 集英社 |
備考 | 8巻収録『異人ノ二十五 明智小五郎×蛭男〜吸血鬼〜』(5話)〜9巻収録(7話)の全12話 |
比較的原作通りに展開するので、良いです。
猟奇的な乱歩の世界がこれでもか!!と、視覚的に来るので(笑)凄いよ😁
吸血鬼 オチ(ネタバレ)
犯人は三郎です。
……それは誰?
という訳で、ネタバレNGの人は、以下の文章はすっ飛ばしてください。
↓
↓
↓
↓
↓
【作中の被害者たち】
岡田
犯人の身代わりとして殺された。
小川
ただの悪いやつ。
畑柳家に隠された宝石(盗品)を盗もうとして、家に隠れていた畑柳庄蔵に殺され、井戸の中。
畑柳庄蔵
塩原温泉に現れた蛭田。
宝石大好き。実は宝石泥棒。
自宅に隠してある宝石のことが心配で、自身が死んだことにして刑務所から脱走。
硫酸で自ら顔を潰す。
帰宅してから
「妻子にこの顔は見せられない」
と急に気づく。
天井裏の隠れ場所にひそみ、隠した宝石を見張っていたが、もう1人の「唇のない男」に殺され、井戸の中。
園田
犯人の助手。
予定にないびっくり事件を起こしたので犯人に絞められ、海上爆発させられた。
斎藤
倭文子を苦しめるためだけに犯人に殺され、棺桶から井戸の中へ。
シグマ(犬)
犯人の臭いを知っているので殺された。
氷工場の死体
……誰なんだろう?標本なの?(不明なまま)
【犯人の目的】
倭文子を怖がらせ、悲しませ、苦しめに苦しめた上で、殺害する。
【事の起こり】
倭文子が元の恋人(貧乏)をこっ酷く振って、畑柳と結婚した事。
元の恋人=二郎は倭文子を忘れられず、憤死(自殺)。
「死んで倭文子を取り殺してやる」
みたいな。
元の恋人(次郎)には、「弟」=三郎がいました。
三郎は悪い子でしたが、お兄さんのことが大好きでした。
三郎はお兄さんの今際の言葉を聞いて誓います、
「兄さんの代わりに、僕が復讐してやる」
三郎は今まで以上に悪いことをしてお金を稼ぎ(復讐のための資金)
入念に準備しました。
↓以下、オチ↓
という訳で、
明智小五郎と恒川警部に問い詰められた三郎は、語ります。
岡田という画家を殺し、自身の身代わりにした、
時同じくして、
塩原温泉に現れた蛭田という「唇のない男」が現れた。
蛭田=畑柳庄蔵とは気づかなかったが、
犯罪をより複雑に、怪談のように見せるため「唇のない男」のろう(蝋)仮面を作らせた。
執事の斎藤さんに恨みはなかったが、倭文子を苦しめるために殺した。
そして畑柳家の屋根裏に潜んでいるのが畑柳庄蔵だと気付き、殺し、宝石を奪った。
あとは、
倭文子に恐怖を味合わせるために、
倭文子を
井戸の中に入れたり(実は死体も一緒に入ってた)
棺桶に入れて、火葬してみたりした、と。
「倭文子さんと茂少年をどこへ隠したのだ!」
「ここだ!」
巨大人間花氷!!
※花氷:中に花を折れて凍らせた氷柱
「今日やっと完成したんだ」
と、ニヤニヤする三郎に、明智小五郎は笑います。
「ワハハ、蝋人形に入れ替えといたヨ!」
文代に連れられた現れる倭文子と茂。
憤怒の三郎。
隠しておいたピストルを手にします。
「ワハハ、弾は抜いておいた」
「まだ切り札は残っている!」
三郎は、
明智小五郎・恒川警部・文代・倭文子・茂を冷凍室に閉じ込め、製氷工場に火を放ちました。
「大丈夫ですよ、工場の周囲は警察が取り囲んでいます」
明智小五郎たちは、なんとか工場を脱出。
しかし彼ら以外に工場から出てきた人間はいないとのこと。
「自殺か…?」
翌朝、焼跡からバラバラに砕けた人骨が発見される。
「やはり奴は自殺したのだ」
恒川警部がそう言いました。
「しかし…」
しかしと言いつつも、この白骨が三郎のものであるとは明智小五郎も断言できず。
事件は、犯人死亡で終わり。
三郎は死んで、倭文子は元の生活に戻ったのです。
「そんな訳ないと思うんですよ」
あれから半月すぎた頃。
明智小五郎と恒川警部のもとに一本の電話が入る。
倭文子が殺された、との報だった。
現場へ向かう恒川警部。
しかし、どう見ても人の出入りは確認できない密室事件のようであった。
明智に電話する警部。
「椅子です。椅子を調べてください。
三郎の助手だった園田黒虹が『椅子になった男』という小説を書いています」
警部は受話器を握ったまま倭文子が殺された長椅子へ目を向けた。
長椅子の底から、今まさに血が滴り落ちている。
長椅子を破ってみると、バネの代わりに瀕死の三郎が横たわっていた。
恒川警部は、三郎を椅子の中から取り出し、倭文子の死体のそばへ横たえる。
「谷山、僕だ。恒川だ。分かるか。言い残すことはないか」
谷山三郎は、微かに頭を動かして、隣に横たわっている倭文子の死骸を眺めた。
ただ最後の力を振り絞り、静子の手を握った。
谷山の口が奇経にゆがんだかと思うと、ゾッと身のすくむようなすすり泣きの声が漏れ、そのまま彼の体は動かなくなってしまった。
まとめ
明治謎解きアトラクション「江戸川乱歩の不完全な事件帖」のモチーフとなっている江戸川乱歩の小説を読ました。
謎解きの思い出を交えた感想を書いています。
*明治村の謎解きから江戸川乱歩の原作を読んでみた感想(まとめ)
よろしければご覧ください。
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