明治謎解きアトラクション「江戸川乱歩の不完全な事件帖~十二面相からの予告状」にチャレンジしています。
せっかくなので謎解きのモチーフである江戸川乱歩の作品を読んでみよう!
ということで、今回は『鉄塔の怪人』(『鉄塔王国の恐怖』)を読みました。
明治村の謎解き「Scoop04 煉瓦楼閣の恐怖」の原案にあたる作品です。
謎解きの内容を思い出しながら、『鉄塔の怪人』の感想を書いています。
江戸川乱歩『鉄塔の怪人』(『鉄塔王国の恐怖』)と明治村の謎解き『煉瓦楼閣の恐怖』について
江戸川乱歩の『鉄塔の怪人』(『鉄塔王国の恐怖』)は、明治村の謎解き(2023年)「江戸川乱歩の不完全な事件帖~十二面相からの予告状」の『Scoop04 煉瓦楼閣の恐怖』の原作モチーフです。
『鉄塔の怪人』は、小林少年が覗きカラクリを見せる白ひげの老人に出会ったことから始まる、巨大カブトムシ出現、賢二少年誘拐事件を明智小五郎と小林少年が解決するおはなし。(主に小林少年が大活躍します)
明治村の謎解きも、太郎少年が白髪のおじいさんからのぞきカラクリを見せられることから始まる誘拐事件(太郎命名「甲虫事件」)を、のぞきカラクリを駆使して解決するおはなしでした。
原作『鉄塔の怪人』 (『鉄塔王国の恐怖』) |
謎解き『煉瓦楼閣の恐怖』 |
---|---|
のぞきカラクリ | のぞきカラクリ(覗絡繰) |
白ひげのじいさん | 白髪の老人 |
巨大カブトムシ | カブトムシ(甲虫) |
私設電話局の中にいた犯人のひとり | 電話交換手 |
紙とえんぴつ | 赤鉛筆と定規 |
今回、謎解きに登場した人物(少年探偵団のメンバーなど)の名前は、特に原作『鉄塔の怪人』作中に登場した名前ではなかったですね。
ストーリー展開としては、のぞきカラクリ→カブトムシ→誘拐事件→身代金受渡し→解決という原作と同じ流れになっている謎解きでした。
謎解きにちりばめられている単語を原作『鉄塔の怪人』で見かけると、これが元ネタかな?という妄想ができて楽しいです(笑)
明治村の謎解きの感想については、下記記事をご覧ください。
鉄塔の怪人を読んだ感想
巨大カブトムシが登場すると聞いていたので、怪獣映画のようなカブトムシが東京を跋扈する物語を勝手に想像していました!(もしくは『巨大蟻の帝国』のようなイメージ(笑))
少年向けの物語なので、怖い要素もなく……こういう言い方をしていいものか悩みますが、むしろ笑える展開で、面白かったです。
ここまでくると、2023年の謎解きの原作モチーフは、2022年とは異なり、すべて少年向けのストーリーになっていますね。配慮を感じます。
2022年は、謎解きからモチーフになっている江戸川乱歩の作品を読んで、びっくりしてしまったお子さまが多かったのかしら?(エログロナンセンスな作品だと、びっくりするよね(^^;))
私も『一寸法師』を読んで、救いがなくてびっくりした(笑)
(想像すると、とてもグロい絵になっちゃうからねぇ…( ̄▽ ̄;))
それも含めて、面白いのが江戸川乱歩作品だと思いますけどね♪
謎解きから江戸川乱歩を読んでもびっくりしないように、全年齢対象になっているのが2023年仕様かな。
それはさておいて、『鉄塔の怪人』を読み終わった感想。
カブトムシが大活躍するおはなしですね(笑)
カブトムシは、
- 鉄塔王国の守神にして鋼鉄の戦車!
- 幽霊タイプもいるよ!
- 運転手は、カブトムシ!?
- カブトムシ少年隊!
- 「大変です!カブトムシから電話がかかってきました!」
などなど。
まじめな展開なのでしょうが……ごめん、深刻になれなかった(笑)
想像したら、確かに怖いし、気持ち悪いですよ。
自分より大きなカブトムシが部屋にいても嫌ですし、追いかけられたら恐怖以外のなにものでもありません。
でも小説の中のことだから😊
(読んでいる分には、安心安全)
あとは、カブトムシの大きさが絶妙だったので「こんな大きさのカブトムシが存在するわけないよ。鋼鉄の着ぐるみ(『青銅の魔人』の影響かも⁉)で、中に人間が入っているに違いない」という前提で読んでました(^^;)
カブトムシに関して言えば、やはり中の人の凄さ……ですかね。
特にカブトムシ新兵(少年)に指導する中の人(二十面相さんですけど)のカブトムシの動作の再現力の凄さよ。
「わしだけの働きのできるやつは、ひとりもいないのだ。」
どれほど練習したんですか?二十面相さん⁉
明智小五郎をぎゃふんさせたい執念がすごい💦
≪トリックで面白い・気になったところ(6か所)≫
- カーテンから覗く銃口と靴
カーテン裏に仕込まれた紐に結ばれた銃と靴は、二十面相の定番なのでしょうか? - 明智探偵事務所には、落とし穴が常設されている。
ナニソレ? - 魔法のつえ
「たった30㎝の筒が、たちまち、3メートルにのびるのですよ。」
「手品師のもっているつえと同じしかけです。」 - 「私設電話局ができていたのです」
作っちゃったのか! - 小型拡散機を仕込んだカブトムシ(無人)
地上と地下室(自動車(マイク)とカブトムシ(拡散機内蔵))は、長い電線繋がっていたそうですが、現代なら無線で対応できそう。 - 「そうだ、自動車を運転しよう」
小林少年、自動車を運転できるの!?
運転習ったって、君、いくつなの?
(14、5歳だから、当時なら小型の免許取得できたのかもしれない…)
まあ、ガソリンが空だったので、運転はしませんでしたが…
うん。面白かったから、問題なし。
オチは、ある意味恒例の、二十面相生死不明というお約束の展開でした。
実際にリアルに想像すると、怪奇で怖いだろうと思うのですが、終始「ありえねぇ(笑)」が先行してしまい、ただただ愉快に読み進めてしまいました。
ごめんね、乱歩さん。
面白かったのは、本当だよ♪
江戸川乱歩の鉄塔の怪人は、無料で読める?
私が読んだのは、Amazonのkindle版『江戸川乱歩全集 新日本文学電子大系 (芙蓉文庫)』に収録されている『鉄塔の怪人』です。(kindle Unlimitedに加入していると0円で読めます)
kindle以外の電子書籍であれば、青空文庫で読むことができます。
江戸川乱歩「鉄塔の怪人」概要
鉄塔の怪人 | |
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あらすじ | 小林少年が覗きカラクリを見せる白ひげの老人に出会ったことから始まる物語。都内に出没する巨大カブトムシ出現。そして誘拐された高橋賢二少年と身代金の引渡し。事件の犯人を追って、小林少年は鉄塔王国へと潜入する…果たして、名探偵明智小五郎と小林少年は、賢二少年を救出し犯人を捕らえることができるのか⁉ |
著者 | 江戸川乱歩 |
備考 | 1954年月刊娯楽雑誌「少年」に連載された少年向け推理小説シリーズ10話目。ポプラ社『鉄塔王国の恐怖』の題名で刊行。1033年雑誌「キング」に連載された『妖虫』の着想を取り入れたリメイク作品。 |
まとめ
江戸川乱歩の『鉄塔の怪人』を読んだ感想は、
- 怪奇じゃなくて、人力なので、怖くない。
(つい犯人の努力を感じてしまう(^^;)) - 小林少年が、ものすごく頑張ってます!
という感じで、不気味な事件なのですが、見方を間違えたので、終始愉快でした。
個人的には、運転手がカブトムシに見えた理由がわからないのですが、一緒にいるのが二十面相ならば、見えることもあるかもしれませんね(怖)
明治村の謎解き『煉瓦楼閣の恐怖』も、『鉄塔の怪人』のように太郎少年が白髪の老人にのぞきカラクリを見せられるところから物語が始まります。
謎解きでは、「覗絡繰」を駆使して、誘拐事件、受取場所などを特定し、最終的に犯人を追い詰める展開になっています。
とにかく「覗絡繰」が難しい(笑)
閃かない自分の脳みそが、恨めしい!
でも解けた時のスッキリ✨は、ピカイチでした。
もしよろしければ、一度チャレンジしてみてくださいね♪
博物館明治村の謎解きについては、下記記事をご覧ください。
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